「……相変わらずだなぁ、まったく」

 猪突猛進で、一生懸命。

 そのまっすぐな、まっすぐすぎる心根が、モンスターをねじ伏せる。

 対魔戦争のときに、アデルが力でねじ伏せてテイムしたモンスターは七頭にもおよんだ。

 今でもそのうち何頭かは、決して人を襲わない野生の個体として生き延びているとか、いないとか。

 ただ打ち倒すだけではなく、場合によっては心を通わせる。

 アデル曰く。

 対話をする機を得るために、力というのはある……のだとか。

 リィトには、アデルの心中はわからない。

 けれど、焼き払い、なぎ倒す──それを誉れとする騎士団の男たちでは成し得ないことを、何度もアデルは達成していた。

 実際、対魔戦争のときにはアデルの存在がなければ局面が何度もあったのだ。

「……すごい。モンスターが、まるで子猫だ」

「アデルさんって、すごい人……ですっ」

 フラウが目を輝かせている。

 同じ女として、規格外のアデルの姿は胸を打つものがあるのかもしれない。

「うん。すごいやつなんだよ、アデリア殿下は」


 ──こうして、下大陸の地でもアデルの使い魔が誕生したのだった。