古の宮廷魔導師たちが残した研究成果という名のガラクタの山。
開かずの資料室と呼ばれる倉庫で、ガラクタをかき分けていたときに、あるものを見つけた。
透明な硝子瓶に保存されている、親指の爪ほどの種子だった。
植物は好きだ。
というか、専門。
この世界の植物の種子には、そこそこ詳しいつもりだ。
種子を見ればある程度はどんな植物のものかは推測できるくらいには。
「……なんだ、これ?」
それなのに、その種子はさっぱり正体がわからなかった。
なにせ銀色で、仄かに青く光っている。
とても特徴的で、とても美しい。
持ち前の好奇心が疼いた。いいぞ、新種かもしれない。
「いいね、これは研究対象に──」
そのときだった。
バタン、と資料室の扉が乱暴に開け放たれる。
なだれ込んできたのは、近衛兵団。
「その場を動くな、手を挙げろ!」
なるほど。
宮廷魔導師リィト・リカルトは悟った。
──どうやら、ハメられたらしい。
開かずの資料室と呼ばれる倉庫で、ガラクタをかき分けていたときに、あるものを見つけた。
透明な硝子瓶に保存されている、親指の爪ほどの種子だった。
植物は好きだ。
というか、専門。
この世界の植物の種子には、そこそこ詳しいつもりだ。
種子を見ればある程度はどんな植物のものかは推測できるくらいには。
「……なんだ、これ?」
それなのに、その種子はさっぱり正体がわからなかった。
なにせ銀色で、仄かに青く光っている。
とても特徴的で、とても美しい。
持ち前の好奇心が疼いた。いいぞ、新種かもしれない。
「いいね、これは研究対象に──」
そのときだった。
バタン、と資料室の扉が乱暴に開け放たれる。
なだれ込んできたのは、近衛兵団。
「その場を動くな、手を挙げろ!」
なるほど。
宮廷魔導師リィト・リカルトは悟った。
──どうやら、ハメられたらしい。