舞花がまず買ったのは、漫画だった。
うちにある漫画と言ったら、日本史や世界史、偉人の伝記ものだった。
舞花に読ませようと、箱でセット買いしたものが舞花の部屋の本棚やリビングの本棚にずらりと並んでいる。
少女漫画や付録付きの月刊誌を買ったことはなかった。
そういう本は勉強にならないし、むしろ勉強の邪魔になると思った。
それに小学生の舞花には、まだ恋愛なんて早いと思ったし、最近の子はませてるから漫画の内容も過激だと聞いている。
それは舞花にとって悪影響だと思っていた。
そういう僕は昔から漫画が好きで、今でもお気に入りの週刊誌の連載を読み漁っている。
漫画を禁止している手前、家には持ち込めないので、会社帰りに点在するコンビニを渡り歩いている。
罪悪感はコンビニスイーツを手土産にして埋めている。
舞花ははじめ、付録付きの少女漫画を一冊買った。
ソファに座って、分厚い雑誌を食い入るように眺めていた。
今時の付録はかわいい袋や文房具など実用的なものが多く、舞花はそれを大いに喜んでいた。
そのうち月刊誌以外にも単行本も少しずつ集め始めた。
学校で流行っているものや、図書館で人気があっていつも貸し出し中になっているものなどを購入して読んだ。
舞花は小説もよく読んだ。
以前よりも頻繁に。
舞花が読む小説は、僕たちが普段から読んでほしいと思っている本、いわゆる名作とか小学生へのおすすめ本ではなく、ライトノベルや小中学生向きの恋愛小説だった。
そのうちファッション雑誌も読み漁るようになった。