「舞花」は、僕がつけた名前だ。

 その名前が思い浮かんだ日のことを、僕は今もよく覚えている。

 
 それは、僕たちの結婚式だった。
 
 挙式が終わってチャペルの扉が開くと、結婚式に参列した人たちがずらりと並んで待っていた。

 その手に握られていたのは、数枚の花びらだった。

 僕たちはその花びらの中に、形が残る花を混ぜ込んでいた。

 僕たちが歩みを進めるたびに、その花と花びらがふわりと放たれる。

 雲一つない青空の下、花びらが舞う光景は、まるでスローモーションのようにゆっくりで、ひらひらと僕たちに降りかかる。

 その中にぽっ、ぽっと現れる花。
 

 幸せだった。
 
 祝福されることが、こんなに素晴らしいことだなんて。
 
 僕たちのことを、こんなにたくさんの人たちが祝福してくれている。
 
 ずっとこんな瞬間が続けばいいのに。
 
 人生が、こんな幸せの瞬間で埋め尽くされたらいいのに。
 


 色とりどりの花びらと花が、僕たちの歩む先に鮮やかな道を作る。
 
 フラワーシャワーは、祝福の象徴。
 

 花が、舞う。
 

 舞花。