歩美からの許可が下りると、舞花は一週間泊りがけで行きたいと言いだした。
それも歩美は許可した。
義両親の家に泊まるなんて、何年ぶりだろう。
近くに住んでいたこともあって、泊りがけで行ったことなんてほとんどない。
舞花に関しえ言えば、舞花が義両親の家に一人で泊まるのは初めてだった。
いつも車で行っているにもかかわらず、舞花は電車で行くと言い出した。
「一人旅みたいでしょ?」
舞花は一週間分の大荷物を持って電車に乗り込んだ。
僕たちは舞花が乗った電車が見えなくなるまで見送った。
駅にして、たった三駅。
電車で十五分の場所。
それなのに、ものすごく遠くへ行ってしまうような気がした。
目元がじんわりと熱い液体で満たされていくのが分かった。