僕は舞花の視線を時折追った。
電車の中、タクシーの中、歩いている途中。
舞花は表情をころころと変えた。
こんなことに驚くのか。
こういうものに感動するのか。
こういうものが好きなのか。
そうしているだけで、また舞花のことが少し知れたような気がした。
ほんの少しだけど。
それと同時に、気づいたこともある。
子どもと見る世界は、こんなにも素晴らしい、ということだ。
子どもがいたから経験できたこと。
子どもがいなかったら絶対やらなかったこと。
子どもと立ち止まって見た世界。
定番の観光名所でも、子どもと行くだけで、子どもの目線に合わせて見るだけで、こんなにも新鮮で、こんなにも新しい発見があるとは思わなかった。
知っているようで、知らない世界。
僕が知らない世界を、舞花がまた教えてくれる。