大仏殿の外に出てようやくまともに呼吸ができたような気がした。 それは僕だけじゃない。 歩美も、舞花も。 外気を体いっぱいに取り込んで、大きく吐き出した。 「通れたのは私だけだったね」 舞花は得意気な顔を僕たちに向けた。 「良かった」 舞花の視線の先には、雲一つない青空が広がっていた。 その空の色で、秋の空気がいかに澄んでいるかが僕にも感じ取れた。 秋の風を受けながら、舞花はそんな空に吸い込まれるように歩き出した。