僕と歩美は大学で知り合った。

 才色兼備で何でもそつなくこなせる歩美は、キャンパス内のマドンナだった。

 明るくて面倒見がいいから、歩美の周りには人が集まったし、友達もたくさんいた。

 僕の方もそれなりに頭も良かったし、がたいはよくないけど背は高い方だった。
 
 顔だって悪くない。

 実際、よくモテた方だと思っている。
 
 人付き合いもいい方だから、それなりに仲間にも恵まれていた。

 そんな僕たちがひかれあうのは時間の問題だった。

 話も合う、趣味も合う、性格も合う。

 だから僕たちは、大学一年生の夏休みには付き合い始めていた。

 大学を卒業すると、僕は銀行に、歩美は大手家具メーカーに就職した。

 そして就職して三年たった頃、仕事にも慣れて社会人としての生活が軌道に乗ってきた僕たちは、結婚した。

 100人を超えるゲストを呼んで、華やかで盛大な結婚式を挙げた。

 僕たちの人生は、まさに順風満帆だった。
 
 面白いように計画的に、順調に、そして幸せに進んでいく。

 歩美と紡ぐ人生設計は完璧で、一点の曇りも狂いもないように思えた。
 
 結婚式を挙げてから一年は、二人だけの生活を楽しんだ。

 子どもはそれからでも遅くないと思った。

 そして結婚式から一年後、歩美の妊娠がわかった。

 それから僕たちは出産に向けて念入りに準備をした。

 胎教に良いと言われている音楽を聞かせ、英語のCDを流した。

 毎日よく話しかけたし、お腹をさすった。

 そのおかげか、お腹からの反応も良くて、それが嬉しかった。

 もちろんこれからかかるお金のことも考えた。

 保険相談の窓口に足繁く通って、いろんなパンフレットを読み込んだ。

 生命保険、医療保険、がん保険、介護保険……。

 必要と思われる保険はすべて入ったつもりだ。

 今後かかるであろう学費のことも調べて学資保険にも入った。