「おい、何やってんだ。何の集まりだ」
体育館の静けさを打ち破るような怒声が外から聞こえてきて、僕たちはみんな同時にそちらに目を向けた。
集まっていたギャラリーたちが道を開けたり、そそくさと帰っていく。
僕も荷物を持って三方向にある体育館の扉を目指した。
その一つに、舞花の姿を見つけた。
散り散りに帰っていく生徒の中に、困惑した顔で舞花が立っていた。
恐らくいつまでたっても待ち合わせ場所に現れない僕を探しに来たのだろう。
舞花は帰っていく生徒たちの中で揉まれながら、背伸びの体勢でこちらを見ている。
僕を探す舞花を、僕は愛おしく思った。
僕は舞花の方にまっすぐと歩いていった。
それまでの自分の努力を振り返って、舞花と再会した日のことを思い出して、舞花と過ごした5日間を思い返して……。
僕は今すぐ、舞花のそばにいたいと思った。
先生に何かを説明する俊平が、僕に目だけで何かを合図するのを確認して、僕は舞花の方に歩みを進めた。
少しずつ小走りに、最後には全速力で。
まだ辺りをきょろきょろとしている舞花の手を、僕は迎えに行った。
そっと触れた瞬間、舞花の目と合った。
それを確認して、僕は舞花の手を力強くぎゅっと握った。
そして舞花の手を引きながら、生徒たちに紛れるように急ぎ足で体育館から離れた。