僕が自分のことを「僕」ではなく、「俺」って言うようになったのも、ちょうどそのころからだった。
「俺」なんて僕には全然似合わないし、案の定、良い慣れるのに時間がかかった。
「俺」なんて言っている自分は自分じゃないようで、自分に自分のことだと認識させるのにも馴染ませるのにも結構時間がかかった。
だけど、そう言えば少しだけ大人に近づくような気がした。
別に大人になりたかったわけじゃないけど、そうすれば、舞花との距離をもっと置けるような気がしたんだ。
でも、どうしてそんなことを思ったんだろう。
舞花と離れたいなんて。
僕はこんなに、舞花のことが好きなのに。
舞花のそばに、いたいのに。