花咲さん……⁉
僕は驚き過ぎて戸の前に立ち尽くした。
花咲さんは窓際に立っていて、外を見ていた。
太陽の光が窓を通してやさしく降り注いでいる。
その光が花咲さんをやさしく包み込んでいた。
光に包み込まれた花咲さんは、より一層美しさと輝きを増していた。
それは、まるで太陽の光というスポットライトを浴びているようだった。
僕は美し過ぎる花咲さんの姿と歌声に目と耳を奪われた。
そのまま僕の身体は動きを止めた。
まるで魔法にかけられたかのように……。
こんな状態で。
どのように教室に入ればいいのか。
僕は迷っていた。
それに。
花咲さんが、あんなにもきれいな声で歌っているのに。
僕が教室に入ったら水を差してしまいそうで……。
それに何よりも。
僕が花咲さんの美しい歌声を聴いていたい。
だから、このまま花咲さんが歌い終わるのを待とうと思った。
って。
あれ……?
もう終わった……?
花咲さんの歌が終わるまで待とうと思ってから、わりとすぐのことだった。
思ったより早く歌い終えたから。
僕は、どうしたらいいのかわからなかった。
わからないなりに考えた結果。
このまま知らないふりをして教室に入ろうと思った、ら……。
花咲さん……‼
花咲さんが後ろを振り返った。
そのとき花咲さんが僕に気付いた。
そして花咲さんは僕の方に向かって歩いて来る。
どうしよう。
花咲さんが歌っているところをこっそりと聴いていたことがバレてしまう……‼
僕がそう思っている間にも。
花咲さんは僕の方に向かって歩いて来る。
僕の心の中は大慌て。
どうしようっ。
どうしよう……‼
焦れば焦るほど。
何も思いつかない。
僕がパニック状態になりながら考えていると……。