「……優……くん……」


 僕の心の声が伝わったのか。
 加恋ちゃんがやっと口を開いた。


「……私……も……」


 加恋ちゃん……?


「……優くん……の……こと……が……
 ……好……き……」


 加恋ちゃん……。


「ありがとう、加恋ちゃん」


 僕のことを好き。
 加恋ちゃんがそう言ってくれたことが。
 すごく嬉しくて。

『ありがとう』を言わずにはいられなかった。


「……こちらこそ、ありがとう、優くん」


 加恋ちゃんもそう言ってくれた。


 ……ただ……。
 気のせいだろうか。

 僕のことを好きと言ったときの加恋ちゃんの表情(かお)が。
 なんだか悲しそうに見えた……ような……。


 そのことが全く気にならないかといえば噓になるけれど。
 あまり深く考えないようにしようと思った。



 気持ちを伝え合った僕と加恋ちゃんは。
 そのあとも美しい景色を見続けていた。