その道のり。
加恋ちゃんと二人で歩いている。
そのことが、とても幸せな気持ちになった。
そんな気持ちになりながら。
僕は加恋ちゃんのことをチラッと見た。
制服姿の加恋ちゃんもとても可愛い。
だけど、私服姿の加恋ちゃんも、とても可愛い。
初めて私服姿の加恋ちゃんを見て新鮮な気持ちになった。
夏のやさしい風に包まれている加恋ちゃん。
その風が加恋ちゃんの髪とワンピースをやさしく揺らしている。
加恋ちゃん……。
美しい加恋ちゃん……。
加恋ちゃんはまるで天使のようだ。
「優くん?」
……‼
加恋ちゃんが僕の視線に気付いた。
「あっ……えっと、あと少しで着くよ」
加恋ちゃんに見惚れていたことを気付かれることが恥ずかしいから。
慌ててそう話した。
「楽しみだな」
加恋ちゃんは待ち遠しい様子でそう言った。
それからしばらく歩いて―――。
「着いた……」
やさしく美しい秘密の場所に。
「ここが……優くんが言っていた秘密の場所……」
初めて来るこの場所に。
加恋ちゃんはとても感動している様子だった。
「きれい……」
「でしょ」
この場所はとても美しい。
一面に広がる草原。
美しく咲く花たち。
そして大きな木。
この場所から見る広くて美しい空。
この空間にやさしく吹き抜ける風。
この場所に存在するすべてのものが美しい。
「うん、すごくきれい……」
加恋ちゃんは、もう一度そう言うと、目をキラキラと輝かせていた。
僕は、そんな加恋ちゃんのことを見ていた。
僕は嬉しかった。
僕が気に入っている秘密の場所の景色を加恋ちゃんと一緒に見ることができて。
加恋ちゃんと一緒に同じ景色を見ている。
それは僕にとって、とても大切でかけがえのないもの。
僕は大切にしたい。
加恋ちゃんとのこの時間を……。