「マリル。どうかしたのか?」
 ロランドは目を細めて、隣の婚約者に声をかけた。

「いいえ。幸せだな、と思っていたの」
 マリルは彼の腕に絡めていた自分の腕に力を入れる。そう、幸せを手に入れた。だから、彼を絶対に離さない。

「そうか。奇遇だな。俺もそう思っていたところだ」
 ロランドは優しい笑みを浮かべて、マリルを見つめる。
 マリルも彼を見上げる。
 二人は顔を見合わせて、微笑み合った。