アーサーが図書室へ行くというので、ロランドも一緒に行きたい、と言った。アーサーは目をくりくりと広げたが、普通の大きさに戻った。
「ロランドが図書室に行きたいって、珍しいね」
「そうか?」
「少なくともボクの知っているかぎりでは」
くすっと、アーサーは笑った。
フェリッサと思い出の場所である図書室。彼女がナイチェルの婚約者となった日から、少しずつ足が遠のいていた。
「少し、心理学について学びたくて」
「ロランドらしいや。ボクは図書室で本を読んでから帰るけど」
「俺は借りるだけだから。めぼしい本が見つかったら、勝手に帰る」
「うん、わかった」
図書室への入室までは肩を並べていたが、それぞれの目的が異なる二人はそこで別れた。図書室というのは独特の雰囲気がある。絶対に音を出してはいけない、というような。その空間で静かに本を読める人間がうらやましかった。図書室では本を借りるが、長居はしない、というのがロランドのスタンスでもある。
心理学の本が置いてある棚を探す。分野別に並んでいるのだが、どういった順番で並んでいるのかまでは把握できていない。棚の脇に書かれている分野を目印に、目的の場所を探す。
だが、目的の場所に辿り着く前に、目的の人物を見つけてしまった。
「ロランドが図書室に行きたいって、珍しいね」
「そうか?」
「少なくともボクの知っているかぎりでは」
くすっと、アーサーは笑った。
フェリッサと思い出の場所である図書室。彼女がナイチェルの婚約者となった日から、少しずつ足が遠のいていた。
「少し、心理学について学びたくて」
「ロランドらしいや。ボクは図書室で本を読んでから帰るけど」
「俺は借りるだけだから。めぼしい本が見つかったら、勝手に帰る」
「うん、わかった」
図書室への入室までは肩を並べていたが、それぞれの目的が異なる二人はそこで別れた。図書室というのは独特の雰囲気がある。絶対に音を出してはいけない、というような。その空間で静かに本を読める人間がうらやましかった。図書室では本を借りるが、長居はしない、というのがロランドのスタンスでもある。
心理学の本が置いてある棚を探す。分野別に並んでいるのだが、どういった順番で並んでいるのかまでは把握できていない。棚の脇に書かれている分野を目印に、目的の場所を探す。
だが、目的の場所に辿り着く前に、目的の人物を見つけてしまった。