再び歓声と驚きの声があがる。
「なんと」
「初めて見たぞ」
「あれが、光の精霊?」

 どうやら、マリルが光の精霊と契約をしたらしい。
 ナイチェルルートならここで彼が彼女に労いの言葉をかけるはずだが。その彼はフェリッサの隣に寄り添っている。

「私も、初めて見たな」
「ナイチェル様もですか? 私もです」

 二人は仲良くそんな言葉を交わしている。そこにロランドが入り込むような隙は無い。

「インチキだ」
 突然、そんな怒声が飛んできた。確かあれは、魔導士団の誰かの息子だ。
「パトリック様でさえ、光の精霊とは契約できていないんだ。それを、こんな小娘が」
 どうやら、パトリック信者のようだ。彼よりも上の精霊と契約を交わした彼女が面白くないのだろう。

「やめないか、ジョニー。見苦しいぞ」
 低い声でそう制したのは、ロランドだった。彼がそう発したことに、フェリッサは驚いて目を見開いた。ナイチェルも口をポカンと開けて、事の顛末を見守っている。

「彼女は、ずっと努力をしていた。光の魔法を使えるからといって、それをおろそかにするようなことをしなかった。その結果が今ではないのか」

「ロランド様」
 か細い声で彼の名を呟いたのはマリルだが、その声すらもロランドには届いていない。

「彼女のような力の無い者が、このクラス一でやっていかねばならないという状況を考えたことはあるのか。権力等の後ろ盾の無い状況で、だ」