マノレイ国の宰相の息子であるロランドは、王立学園の高等部に通う三学年だ。あと一年で学園生活も終了。学園の卒業後は、父の跡を継ぐべく、文官として王城で働くことになっている。
 ロランドの学年には、王太子のナイチェルとその婚約者であるフェリッサもいる。さらに、騎士団長の息子やら、司祭の息子やら、魔導士団長の息子やら、とやたら偉い人の息子がいる。豊作の年、と言えば聞こえはいいかもしれないが、何かしらの意図も感じてしまう、というのも本音。
 この学年には何かあるのだろうか、と。

 さて、この学園のクラス分けは、手っ取り早く成績順になっており、その三学年のクラス一には三学年のなかでも、成績上位二十名が所属している。一学年のときから王太子とその婚約者、そして偉い人の息子たちはクラス一に所属していた。
 そして三学年になったとき、マリルという垢抜けしない少女がクラス一に昇級してきた。
 彼女は庶民。
 だが、この学園に通うために、どこかの男爵家の養女になったとも聞いている。
 だからだろうか。振舞や言動が、ちょっと他の女子生徒と異なり、それに心奪われる男子生徒も少なくない、とか言われているのは。