「ジュリアス。君だっていずれは父親の跡を継いで騎士団長になるのだろう。そうなれば、予算案やら決裁書やら、数字との付き合いは切っても切れないぞ?」

「わかってはいるんだけどなぁ」

「ロランド。できれば私にも教えていただけないだろうか。最後の問題が難しすぎて、解けなかったのだ」
 魔導士団長の息子のパトリックまでもが声をかけてきた。将来の魔導士団長らしく、茶色のウェーブのかかった長い髪をゆるく一つに結わえている。長い髪には魔力が宿ると言われているためか、魔導士には長髪が多い。

「なんだよ、パトリックまで」
 ロランドは微苦笑する。
 だが、ジュリアス、パトリックときたら。

「おい、アーサー。君は大丈夫か?」
 ロランドは一歩下がってやり取りを見ていた司祭の息子に声をかける。金色の髪を耳の脇で揃えた髪を揺らしながら、アーサーも「ボクにも教えて」と、小さな声で呟いた。
 結局、ロランドの周囲には攻略対象者の三人が集まってきたわけだが、これは特別なことではなく、いつもの風景。
 ロランドの周囲には、いつもジュリアスもパトリックもアーサーもいた。そして、少し離れてナイチェルとフェリッサ。
 この関係を続けていくことが、自分の幸せであるとロランドは思っていた。