まず、狙うはナイチェルルートの横取りだ。
 これに失敗したら、次の横取りルートはどれにしようか。

 騎士団長の息子のジュリアスルートの解禁は、確かジュリアスがマリルを助けたところから始まる。校舎の下を歩いていたマリル。二階から落ちてきた植木鉢。それが意図的か偶然かはわからない。そもそも二階から植木鉢が落ちてくる状況は、漫画やゲームの世界でしか知らない。むしろ、ここはゲームの世界だから、それが起こってもおかしくはない、ということか。
 ジュリアスに助けられたマリルは、御礼にといって素朴なクッキーを作って彼に手渡す。そのマリルの家庭的に次第に惹かれていくジュリアス――。

 二階から落ちてくる植木鉢から彼女を助けるのは、ちょっとロランドにはハードルが高いかもしれない。

 続いての保険を考える。
 魔導士団長の息子のパトリックルート。ある日の魔法の授業で、誰かが魔法を暴走させてしまい、その魔法がマリルを直撃しそうになる。それを助けたのがパトリック。しかし、助けたはずみで怪我をしてしまう。それを献身的に治療するマリルに次第に惹かれていくパトリック――。

 魔法の暴走から彼女を守るというのは、魔導士ではないロランドにとっては命がけの行為だ。だから、このルート横取りは保険。

 最後に。
 司祭の息子のアーサールートはどうか。アーサーは、四人の中でも最も大人しい性格で、派手な行動はしない。確か、マリルとアーサーの出会いも図書室だったような気がする。図書室に行くたびに顔を合わせる二人。なぜかアーサーはそのマリルが気になりだして――。

 これだ。これならいけそうだ。

 第一候補はナイチェルルート、第二候補はアーサールート、そして、ジュリアス、パトリックルートの横取りと進めればいいだろう。
 そこで、ロランドはペンを置いた。