翌朝、カーテンの隙間から差し込む朝日に照らされて目を覚ますと、フォルテとデュナはまだ寝ていた。
サイドボードに置かれた時計を見る。
ずっしりと重そうな台に、細かな彫り細工がされていて、その真ん中に、懐中時計ほどの大きさの時計が埋め込まれた形になっているそれは、今が朝の七時少し前だという事を教えていた。
えーと、昨日、ご飯を食べ終えて、部屋に通されたのが九時頃で……。
昨夜、この部屋に通され、この時計を初めて目にしたときの時間がそのくらいだった。
デュナは気付けばバタンと寝ちゃってて、フォルテもうとうとしてて、私はひとまずみんなの下着を洗濯したんだよね。
思い出しつつ、部屋の隅に干していた洗濯物を回収する。
明日が野宿にならないとも限らない生活をする上で、洗濯できるチャンスを逃さないことは大事だった。
手早く畳んで、振り返る。
いつも、長期の旅になるとスカイが背負わされている大きな縦長のリュックを視線で探すが……。
……あれ? 無い……?
ひとまず洗濯物をベッドに置くと、立ったりしゃがんだり、部屋の隅から隅まで確認する。
移動中は、スカイの背中が定位置のリュックだが、宿ではいつも私達の部屋にあるものだったし、現に昨日そこから全員分の洗濯物を取り出したのだ。
無いはずが無い。
デュナに聞こうにも、まだぐっすり寝ているし……。
脳裏にデュナの台詞が過ぎる
『寝すぎは時間の無駄よ無駄! 7時間も寝れば十分よ!!』
いつもそう言ってスカイを叩き起こしているデュナが、疲れていたとはいえ、こんなにいつまでも寝るものだろうか。
デュナは、まったくもって昨日のまま、寝返りすら打っていないのではないかと思うほどに、昨夜と同じ姿勢で、靴を履いたままベッドにうつ伏せている。
何かがおかしいという事に、私は、やっと気付いた。
「うーん……」
後ろで小さな声が上がる。
窓側のベッドで寝ていたフォルテが、眠そうに目をこすりながらやってくる。
デュナが息をしているか、確認しなくてはいけない。
その考えがどんな結果を可能性として想定したのか、気付いた瞬間、背筋が凍った。
「おはよぅ……ラズ」
ふにゃふにゃと、まだ回らない口から発された挨拶に返事が出来ないまま、私はデュナをじっと見つめていた。
立ち竦む私を不審に思ったフォルテが、私の視線の先にあるデュナを見る。
「デュナ、まだ寝てるの?」
おぼつかない足取りでデュナに近寄ろうとしたフォルテの目前に、昨日見かけた大気の精霊、あのパチパチした奴が姿を現す。
あの表情は、攻撃を仕掛けようとしている!!
力いっぱいフォルテの肩を引く。
フォルテはそのまま背中から私にぶつかり、ゴロンと2人で後ろに倒れた。
運悪く、ベッドの脚に背中が打ち付けられる。
が、フォルテは無傷のようだった。
よかった……。
ほっと胸を撫で下ろす。
「ど、どうしたの?」
驚いて目が覚めたのか、フォルテが大きなラズベリー色の瞳で私を覗き込んだ。
「うん、ちょっとね……いたたた……」
痛む背中を庇いながら、寄りかかる形になっていたベッドに座る。
大丈夫? とフォルテが心配そうにしている。
摩ろうかどうしようか迷っているようだったが、摩られると間違いなく痛い。
とりあえず、隣に座るように言って、何をどう説明しようかと考える。
サイドボードに置かれた時計を見る。
ずっしりと重そうな台に、細かな彫り細工がされていて、その真ん中に、懐中時計ほどの大きさの時計が埋め込まれた形になっているそれは、今が朝の七時少し前だという事を教えていた。
えーと、昨日、ご飯を食べ終えて、部屋に通されたのが九時頃で……。
昨夜、この部屋に通され、この時計を初めて目にしたときの時間がそのくらいだった。
デュナは気付けばバタンと寝ちゃってて、フォルテもうとうとしてて、私はひとまずみんなの下着を洗濯したんだよね。
思い出しつつ、部屋の隅に干していた洗濯物を回収する。
明日が野宿にならないとも限らない生活をする上で、洗濯できるチャンスを逃さないことは大事だった。
手早く畳んで、振り返る。
いつも、長期の旅になるとスカイが背負わされている大きな縦長のリュックを視線で探すが……。
……あれ? 無い……?
ひとまず洗濯物をベッドに置くと、立ったりしゃがんだり、部屋の隅から隅まで確認する。
移動中は、スカイの背中が定位置のリュックだが、宿ではいつも私達の部屋にあるものだったし、現に昨日そこから全員分の洗濯物を取り出したのだ。
無いはずが無い。
デュナに聞こうにも、まだぐっすり寝ているし……。
脳裏にデュナの台詞が過ぎる
『寝すぎは時間の無駄よ無駄! 7時間も寝れば十分よ!!』
いつもそう言ってスカイを叩き起こしているデュナが、疲れていたとはいえ、こんなにいつまでも寝るものだろうか。
デュナは、まったくもって昨日のまま、寝返りすら打っていないのではないかと思うほどに、昨夜と同じ姿勢で、靴を履いたままベッドにうつ伏せている。
何かがおかしいという事に、私は、やっと気付いた。
「うーん……」
後ろで小さな声が上がる。
窓側のベッドで寝ていたフォルテが、眠そうに目をこすりながらやってくる。
デュナが息をしているか、確認しなくてはいけない。
その考えがどんな結果を可能性として想定したのか、気付いた瞬間、背筋が凍った。
「おはよぅ……ラズ」
ふにゃふにゃと、まだ回らない口から発された挨拶に返事が出来ないまま、私はデュナをじっと見つめていた。
立ち竦む私を不審に思ったフォルテが、私の視線の先にあるデュナを見る。
「デュナ、まだ寝てるの?」
おぼつかない足取りでデュナに近寄ろうとしたフォルテの目前に、昨日見かけた大気の精霊、あのパチパチした奴が姿を現す。
あの表情は、攻撃を仕掛けようとしている!!
力いっぱいフォルテの肩を引く。
フォルテはそのまま背中から私にぶつかり、ゴロンと2人で後ろに倒れた。
運悪く、ベッドの脚に背中が打ち付けられる。
が、フォルテは無傷のようだった。
よかった……。
ほっと胸を撫で下ろす。
「ど、どうしたの?」
驚いて目が覚めたのか、フォルテが大きなラズベリー色の瞳で私を覗き込んだ。
「うん、ちょっとね……いたたた……」
痛む背中を庇いながら、寄りかかる形になっていたベッドに座る。
大丈夫? とフォルテが心配そうにしている。
摩ろうかどうしようか迷っているようだったが、摩られると間違いなく痛い。
とりあえず、隣に座るように言って、何をどう説明しようかと考える。