「あれ以来、あんたの一方的な脅しに怯えなくて良くなって、私の精神状態はかなり良くなったわ」
過去を思い出して加奈子が言うと、梶原はがっくりと項垂れた。
「お前が悪いんだろ……っ! 俺の神の名前を間違えたんだから……っ!!」
今では梶原との会話に平気で『神』とか『推し』とかいう言葉が出てくる。いやあ、どんな崇高対象でも、それを持つ人とは分かり合えるから平和だ。加奈子はしみじみとあの事件以来の心の平穏を思い出して微笑んだ。
「いいじゃない。尊ぶ相手が居るってことは、心に活気を与えてくれるわ。私は梶原の神をけなしたりしないし」
「それはそうだけどさ……」
ちょっと不満げな梶原がかわいい。表向きの顔の梶原よりも、こうして加奈子と喋っているときにだけ見せるいじけた顔とか、推しに熱くなっている顔とか、結構好きだ。まあ、そんなこと、言ってやらないけど。だって梶原には好きな子が居るんだから。
そのことを考えるとどうしてピッシブに居るカティルカやソワリが霞んでしまうんだろう。加奈子は直視したくない自分の気持ちに、また見ぬ振りをした。
***
「加奈ちゃん」
「あ、由佳」
由佳が生徒会室のドアから部屋の中を覗いてきたのは、もう役員会が終わってからだった。三年になって副会長になった加奈子は、会長の梶原と一緒に議事録を纏めて、さっきの委員会でまとめた文化祭での備品の貸し出し要望書に目を通していたところだった。
「もう少しで終わりそうなの。入って待ってて」
加奈子がそう言うと、由佳はいいの? と言って、遠慮がちに生徒会室に入って来る。すると、途端に背後でバサバサっと大量の紙が落ちた音がした。振り向くと、分厚いファイルに挟んであった、去年までの文化祭の出し物やそれに付随する貸与物の確認表から生徒が配ったリーフレットの原稿までを、梶原が床に見事にばらまいていた。
「あー、あー、あー、何してんの……。折角インデックス挟んで書類ごとに分けてあったのに……」
「ご、ごめん。俺が片付けるから、市原は気にせず続けて」
「いいわよ。二人で片付けた方が早いじゃない」
「でも、備品のピックアップも途中だし、それに次回までに全校生徒に配布する資料を作らなきゃいけないだろ? そっちを優先してよ」
梶原がそう言って手を動かす。席から立ち上がりかけた加奈子の前に出たのは由佳だった。
「加奈ちゃん忙しそうだから、私が手伝います。それなら書類は早く片付くし、加奈ちゃんの仕事も滞らないでしょ?」
にこっと微笑んで梶原の手伝いをしている。タイミング悪く部屋に入って来ただけなのに、率先してそう言うことを言える由佳のことを、加奈子は好いていた。
「ごめんね、由佳。書類の右上に書いてある分類ごとに沸ければ良いだけだし、分けたらファイリングは梶原に任せれば良いわ」
「うん」
ばらばらになった紙を拾っていく由佳から自分の目の前の議事録に集中しようとして、また、あっ! と梶原の声が聞こえた。
「ご、ごめん!」
「ううん、気にしないで」
其方に目をやると、どうやら二次創作にありがちな、落とした物を手分けして拾っていたら、手が触っちゃいましたパターンであることが分かった。梶原は頬から耳のあたりを真っ赤にしているが、由佳は気づかずそのまま作業を続けている。
しかし梶原。一年の時に加奈子の肘に腕を当てた時はなんてことない顔をして、むしろその後に加奈子のスマホを見てたくらみ顔をしたくせに、由佳と手がちょっと触れたくらいで、あんなに赤くなったりする? と思って、加奈子は、はっはーん、と思った。これはあやつ、由佳に惚れてるな? 確かに由佳は気遣いも出来て人当たりも良い。顔も可愛いし、女子の加奈子ですら思わず守ってあげたくなるような、安らいだ雰囲気を醸し出している女の子だ。男子が気にしないわけないだろう。由佳とは別の女友達の香織に言わせれば、入学時からその美貌と頭脳で話題だった加奈子に早々に梶原という彼氏が出来て以来、由佳の存在は急上昇株だったんだそうだ。加奈子と梶原は契約カップルだし、梶原が加奈子に恋愛感情がまるでないことは分かっている。だから梶原が由佳を好きになっても、それは自由なのではないだろうか。むしろ、契約なんて止めちゃって、梶原は自分の気持ちに素直になって由佳に告白すべきではないのか。そう思った。
だから、翌日の帰り際に、それとなく契約のことを持ち出してみた。
「あのさあ、梶原」
「なに」
それを言うのに、少し躊躇ったのは何故なのか。それでも梶原と由佳の為に口を開いた。
「……『契約』、止めた方がよくない?」
加奈子の言葉に、梶原が加奈子の顔をまじまじと見た。
「……考えてみたら、お互いに弱みを一つずつ握ってる段階で、お互いの弱みは言わないっていう保証になるし、……なにより、梶原、由佳の事、好きでしょ」
ズバリそう言い充てると、梶原の顔が真っ赤に熟れた。
うわー、本気だよ、この人。
「由佳のこと好きなら、私が彼女だと困るでしょ」
其処まで言うと、その先を制するように梶原が、待って! と叫んだ。
「た……っ、確かに、市原を迎えに来るようになった生田のこと、良いなと思ってた……。……でも、それと……」
それと……?
「ピーロランドに行けなくなることを天秤に掛けたら、ピーロランドに行けないことの方が、俺にはダメージデカいんだよっっっ!!!」
絞り出すような声で言う梶原に、ジャンルは違えどオタクの魂を見た気がした。加奈子だって、いくら推しカプのこと好きなままで良いと言われても、ピッシブ漁りが出来ない状態に追い込まれるのは嫌だ。
「……なるほど……。梶原の考えは、よく分かった……。じゃあ、取り敢えず」
「もう少し、このままで居させて欲しい……。……来月になったらピーロランドのコラボカフェもあるから、一緒に行こう……!!」
華やぐ笑顔と力強い声で言われて、脱力した。
なんだかなあ……。
でも梶原のおかげで、加奈子は今も二次創作を見ることを諦めないで済んでいるし、それはありがたいことなのだ。
だけど、なんか……、なんか、違わない……?
そんな気持ちになったのを、加奈子は自覚した。
そんな風に過ごしていたある日のお昼。加奈子は由佳と一緒にお弁当を食べていた。もう直ぐ行われる文化祭の準備のために最近では昼食時間も、部活が終わった後の時間も、皆が教室に集まって準備に勤しんでいる。その貴重なお弁当の時間に、加奈子は手早く由佳に話し掛けた。
「私さあ……、ずっと由佳に言ってないことがあったんだよね……」
ぱくりとウズラの卵とウインナーの串刺しを食べて、加奈子は言った。その言葉に由佳が加奈子の方を振り向く。
「え、なに? 大事なこと?」
「……うん。……私、梶原と付き合ってることに、なってるじゃない?」
「? うん? 一年の時からだもんね。学校中の皆が知ってるよね」
「うん、それなんだけどさ……」
言っちゃって、良いかな。でも、言わないと絶対、梶原が後悔するよね……。加奈子は腹をくくって口を開いた。
「それ、さ……。嘘なの」
「……? …………え……?」
「お互いに事情があって、付き合ってるふり、してるの……。でも、由佳には、言っておかないと、後悔するなって思ったから……」
後悔? と由佳が問うた。
「……私に、……嘘ついてたってことを? でも、事情があったんでしょ? 二人にしか分からない事情なら、私が知らなくても仕方ないし、そのまま隠してることも、出来たんじゃないの……?」
確かに事情があった。でも、今、その前提が崩れようとしている。
「うん、確かに事情があったの。でも、梶原が変わって来てるから、それなら、もう隠してる必要、無いかなって思って……」
「? ……分からないけど……。……でも、私にだけ、言う理由があるのね……?」
「……うん」
「じゃあ、私も他の誰にも言わない。秘密は、三人で守っていこうね」
にこっと、由佳が笑った。こういうところ、好きだなあ……。そして、きっと、梶原も、そう言うところに気が付いたんだろうな、と思ったら、親友を誇らしく思った。
***
梶原が加奈子の隣の席に座って文化祭の思い出を喋っている。それを聞きながら、加奈子は明日に思いを馳せていた。
(梶原はまだ煮え切らない感じだけど、もう卒業なんだから、絶対告白した方が梶原の為になるのよ……)
加奈子が梶原を見ながらそう思っていると、梶原がお前、大学に行っても気を付けろよ、と言ってきた。
「度胸があるのは認めるけど、自分が女だってことを忘れると、学祭で絡まれたようなことがまた起きるからな? 女の子は時々しおらしいくらいの方が、安全なんだよ」
もっともらしい忠告は、しかし加奈子の心に届かなかった。
「由佳ならあんなことしないでしょ。心配する相手を間違えてない?」
加奈子が言うと、梶原はぐっと黙った。そして拗ねたように、心配しちゃいけないのかよ、と口を尖らせて言った。
「心配は嬉しいけどね。でも性分は直せないし、それにあんたが心配する相手はもっと別に居るんだってことを自覚した方が良いわ」
加奈子が言うと、なんだよそれ……、と梶原が拗ねた様子で椅子の上で胡坐をかいた。全く分かってない、この男。明日を過ぎたら、由佳と会えなくなるんだぞ。その辺の危機感とか、こいつにはないのか?
(……私だったら……、…………そうか、言えないか……)
心の奥で、ひっそりと思ってみる。梶原もまた、自信がなく一歩が踏み出せないのかもしれない……。
***
東林高校の文化祭は九月に行われ、生徒会執行部のその期の最後の仕事となる。文化祭が終われば、生徒会選挙が行われ、つまり、その年の文化祭の出来が、そのままその期の生徒会の成績となるのだ。梶原と加奈子は去年よりもいっそう真面目に取り組んだ。外部にも公開される東林高校の文化祭は、この地区では一番賑やかな文化祭だった。
加奈子は『生徒会執行部』という紺色の腕章を着けて構内を見回っていた。時々文化祭を楽しむのではなく、生徒や来訪者にいたずらをするために訪れる輩が居るからだ。此処まで見回った限りではそう言う輩は見つからなかったけど、校内を一巡してしまうまでは気を抜けなかった。去年は三年のクラスの前で幼児の迷子が発見されており、親子で見に来ている人たちにも安全な文化祭を届けたかった。
賑わっている廊下を生徒や来訪者を避けて歩く。その時。
前方から、キャーという女子の叫び声が聞こえた。歓声というよりは悲鳴。何かあった、と察知して加奈子は廊下を走った。人だかりをかき分けていくと、廊下の真ん中で由佳と香織が顔の赤い男の人に絡まれていた。……手に、缶ビールの缶を持っている。酔っ払っているのだ。
「なんだ、あんたたちクラスの出し物の客引きしてたんだろ。俺も入れてくれって言ってんだよ」
由佳と香織のクラスの出し物は不思議の国のカフェだった。二人でアリスブルーのワンピースに白いエプロンをし、『どうぞお立ち寄りください』というプレートを持っている。
「あの……、今、教室は満席で……」
「他の客には声かけてただろう!?」
こわごわと由佳が応じると、男の人は声を荒げた。
こんな行為で三年生最後の文化祭の思い出を汚させたくない。加奈子はそう思ってその騒動の中に割って入った。
「すみません。此処は高校です。学生が沢山居る中にお酒を持ち込んでもらっては困ります」
本当は、こんな風に女子に対して威圧的な男の人に立ち向かうのは怖かった。でも、何より由佳と香織が絡まれているのが、我慢ならなかったのだ。
こういう時、二次創作なら此処にさっと主人公が登場して、わき役を助けてくれる者なんだけど……、そう思いながら赤い顔をした男の人と対峙した。
「なんだあ? お前……。……あ~、なるほど生徒会ってやつかあ。じゃあ、お嬢ちゃん、俺をその権限で、つまみ出しとくれよ。おてて繋いで、さあ!?」
ぐい……っと手を引かれた。流石にぎょっとして身を固くしたけど大人の男の人の力は強かった。
引っ張られる!
そう思った時に、シュっと何かが擦れる音がしたかと思うと、引かれた手首を引き抜き、肩を庇ってくれた人が居た。
ハッとして体温の主を見ると、梶原だった。
「飲酒行為は校内で禁止されてます。生徒会会長の役目として、校外へ出て行ってもらいます」
加奈子が目を丸くして見上げた梶原は凛々しかった。まるで一年の頃に加奈子に見せていた……、そして今でも加奈子以外にはそう見せているであろう、頭脳明晰、スポーツ万能な生徒会長の梶原の顔だった。
……一ヶ月前に一緒に行った、コラボカフェでのクロピーにでろでろになっていた梶原とは、大違いだった……。
「ごめん! それから、ありがとう!」
「ホントにありがとう!」
「怖くなかった?」
酔った男の人を教師に預けて帰って来た梶原に加奈子と、由佳、香織が礼を言う。
「気にしないでいいよ。でも市原、友達助けたさに飛び出るのは良いけど、男の人に一人で正面から行くのはあんまり得策じゃないからね? これからも気を付けた方が良いよ」
にこりと微笑んで、梶原が言う。その時、まだ衣替えしていなかった半袖から伸びた腕に擦り傷を見つけた。
「梶原、怪我してるよ」
「ああ、さっき市原の手を引いたときに抵抗されて、あの人に引っ掻かれちゃったんだ。大丈夫、ほっといても治るよ、こんな擦り傷」
なんてことないように梶原が言う。でも、これから片付けもあるし、当たったら痛いと思う。
「待って。絆創膏あるから、貼りなよ」
加奈子はそう言って、この前梶原と一緒に行ったコラボカフェで買った絆創膏を取り出した。シールを剥いでぺたりと腕に貼る。
「ははっ、クロッピかよ」
「良いでしょ何でも。傷に当たらなければ」
加奈子の言葉に、梶原はサンキュ、と言った。
外部公開の時間も終了し、今は校庭で催しに使われた部材などを燃やしてキャンプファイヤーを行っている。その周りで生徒たちが各々に過ごしながら、次第に暮れ行く夕陽の中で一組、また一組と男女が固まっていき、火の明かりが届くところはカップル、陰になっているところは独り者、という図式が出来上がるのだ。これは長年のキャンプファイヤーを経て、自然発生的に生徒がそう行動してきたことが今ではジンクス化して、日向ものか、日陰ものか、の違いが来週からの学校生活に大きく影響する。
生徒会室で返却された備品のチェックをしていた加奈子は、ぼんやりとキャンプファイヤーの明かりを窓の外に見ている梶原に声を掛けた。
「……行かなくて良かったの?」
加奈子の声掛けに、梶原ははっとした顔をして、そして顔を取り繕った後、何のこと? と言った。
「誤魔化しても分かるわよ。……梶原、由佳のこと、まだ好きなんでしょう? キャンプファイヤーで、日向ものにならなくて良いのか、ってことよ」
ズバリ言うと、梶原は火の明かりが届くからだけではなく、赤くなった。赤くなって、おろおろとした。
「で……、出来ないよ……。俺なんてゆめかわオタクで、高校デビューするまでは、ビンゾコ眼鏡の冴えない男だったんだ……。大勢の前でだったら内側なんてさらけ出さなくてもやっていけるけど、一対一になったら、どんなところでボロが出るかわからないじゃないか……。生田さんに幻滅されるのは嫌だ。それなら、ずっと、東林高校の生徒会長だった梶原のままで良い……」
裏表あるとは思っていたけど、この人、こんなにヘタレだっけ。まあ、恋すると人は弱くなるよね、分かる分かる。大体の二次創作で、恋した途端にそれが本人にとって弱みになっちゃってるんだよな。其処を相手がどう落とすかというバリエーションが揃っていることで、二次創作はそれが萌えなんだけど。
「梶原がそんなヘタレだと思わなかったから、てっきり卒業までの何処かで告白するつもりなんだとばかり思ってたわ。言っとくけど、由佳には『付き合ってる振り』だってこと、言ってあるからね?」
「は!? なに勝手なことしてんだよ!!」
「だって、其処までヘタレだと思ってなかったんだもの。だからあとは、梶原がどう行動するかだけよ」
加奈子はそう言って生徒会室を出た。
なんだか胸の奥が痛い。こんなシーン、二次創作であったなあ、なんてぼんやりと考えた。なのに、カティルカとソワリは加奈子の胸の痛みを癒してくれない。今までは彼らが居れば、人生ばら色だったのに。
加奈子は手元のスマホを操作してピッシブのアプリを閉じた。ピッシブのアプリを閉じるなんて、アカウントを取ってから初めてのことだった……。
生徒会は代替わりした。加奈子は梶原と表向きは恋人関係を保っていたが、以前よりぐっと会うことは少なくなった。目の前には受験がある。恋だのなんだのと、言っていられなくなったのだ。
「加奈ちゃん……」
由佳が、何故か心配そうに加奈子を見やってきた。
「なに?」
「……なんか、元気ない気がして……。梶原くんと会ってる?」
なんでそんなことを聞くのだろう。由佳には『振り』だと伝えた筈なのに。
「必要ないでしょ、今。みんな受験一色だよ」
「でも、受験が終わったら卒業だし、卒業したら、もう梶原くんと会えなくならない?」
梶原は東京の大学に行くと言っていた。加奈子は地元の大学を受験するから、進路は違う。……って、そう言うことじゃなくって。
「なんで、卒業してまで私が梶原と会わなきゃいけないのよ。本当だったら……」
其処まで言って、口を噤んだ。それは、梶原から由佳に伝えられるべきことであって、加奈子が口を出していいことではない。
加奈ちゃん? と由佳が訝しんだが、加奈子は笑って首を振った。
「本当だったら、三年間、口も利かなかったかもしれない相手なのよ。卒業してまでもはいいわ」
加奈子はそう答えた。……何故か、由佳が寂しそうに笑った。
***
「……梶原……」
「ん? なに?」
「ホントに由佳に告白しなくていいの……? もう会えなくなっちゃうんだよ……?」
本当に自分でも何をお節介妬いてるんだか。それでも梶原には明日校門を出るときに晴れ晴れと笑っていて欲しいから……。だから。
「かじ……」
「言うよ」
ふと。
言葉が被った。
梶原が真剣な顔をして加奈子のことを見ていた。
その目を見て悟る。
ああ。やっと決心したんだ。梶原は悔いなく高校生活を終えることが出来るんだ。
どこか安堵の気持ちと、一抹の寂しさ。そんなものを抱えて、加奈子は頷いた。
「……大丈夫だよ……。梶原なら、きっと上手くいく」
加奈子が言うと、梶原は表情を和らげた。……まるで今の流れる空気みたい。ぬるんで、あたたかくなったそれみたい。
……梶原に、春が来る……。