「ごめん! それから、ありがとう!」
「ホントにありがとう!」
「怖くなかった?」
酔った男の人を教師に預けて帰って来た梶原に加奈子と、由佳、香織が礼を言う。
「気にしないでいいよ。でも市原、友達助けたさに飛び出るのは良いけど、男の人に一人で正面から行くのはあんまり得策じゃないからね? これからも気を付けた方が良いよ」
にこりと微笑んで、梶原が言う。その時、まだ衣替えしていなかった半袖から伸びた腕に擦り傷を見つけた。
「梶原、怪我してるよ」
「ああ、さっき市原の手を引いたときに抵抗されて、あの人に引っ掻かれちゃったんだ。大丈夫、ほっといても治るよ、こんな擦り傷」
なんてことないように梶原が言う。でも、これから片付けもあるし、当たったら痛いと思う。
「待って。絆創膏あるから、貼りなよ」
加奈子はそう言って、この前梶原と一緒に行ったコラボカフェで買った絆創膏を取り出した。シールを剥いでぺたりと腕に貼る。
「ははっ、クロッピかよ」
「良いでしょ何でも。傷に当たらなければ」
加奈子の言葉に、梶原はサンキュ、と言った。