遊郭で働く決意までしていたというのに、なにもできない自分の無力さが嫌になる。


「私……どうお礼をしたらいいのか」

「これからについてはゆっくり考えましょう。まずは体をお休めください。敏正さんが預かられたのですから、もう心配いりませんから」


まだ若い敏正さんにどれほどの力があるのか知らないけれど、簡単にだまされてしまう父よりずっとしっかりとした考えを持っているように感じる。


「……ありがとうございます。あっ、でも敏正さんも眠っていらっしゃらないのでは?」


人力車で居眠りしていたし。


「あはは。朝まで女遊びをしていたと思われているのですね」
「違うんですか?」


遊郭で他になにをするの?