セナの優しい笑い方が好き。
話すときの瞳は暖かいところも、でも指先はちょっと冷たいところも。

少し抜けた性格も、芯の通った言葉も。


ずっとずっと、大好きなの。
今だって、こんなに、好きなの。



『絶対に、セナを守るよ』



きみは、何が起こるか知っていたの?

知っていて、ずっと、ただそばにいてくれたの?


恋は一瞬の錯覚だって、誰かが言っていた。

きみの存在そのものが、もしかしたら錯覚だったりしたのだろうか。



「……そんなわけ、ないっ……」



だって鮮明に覚えている。

きみを想えば、口は簡単にその名を呼ぶ。

きみの温度も、名前を呼んで振り返るときの表情も、
いとも簡単に、触れられそうなほど、

目の奥に、焼き付いてるのに。



「セナ……」



セナとの帰り道、星型と交換した小瓶のキーホルダー。

必死に握りしめて、セナ、セナ、って何度も呼んだ。


覚えてる、はっきりと。

消えちゃいそうな笑顔も、
最後に私に言ってくれた───……



「……あ、れ」



瞬きとともに、溜まっていた涙がひとつ、頬を滑り落ちた。

まるで感情のすべてがそこに詰まっていたみたいに、するり。



「……なんて、言ってたんだっけ」