先生……。
私は先生を好きでいちゃいけないのかな?
先生を好きになるなんて信じたくなかった自分の気持ち。好きになってはいけない人だと、好きになったって想いを伝えられない人だとずっと思ってきた。今ならこんなにもハッキリと「好きだと」言えるのに……今ならハッキリと「好きだ」と叫ぶことだってできるのに――。
私だけが一方的に見つめて、先生は私のこと気づいてもくれないのかな。考えれば考えるほど、自分の胸を締め付け、涙が溢れた。
キーンコーン、カーンコーン。
「杏~チャイム鳴っちゃったじゃんよー」
ミカの声に、私は急いで涙を拭いた。
「待ってー」
私は走り出そうとして、そしてもう一度、先生へ振り返る。
ドキン。
先生と目が合った。
いつ、気付いたの?
ここから見える職員室には、授業に行ったのか他の先生の姿は見えない。
井関先生は真っ直ぐ私を見つめていた。
ドキンと響く胸の音に合わせるように、目があったことが嬉しくて、切なくて、体が小さく震えた。