アールグレイと読めない英語の手紙は変わらず毎日届き、たまっていくばかりで、すれ違ったまま、私は先生をただ見つめることしか出来なかった。
「杏 急げ~!」
走りながらミカが叫んだ。次の授業は移動。私とミカは教室に向かうため、一階の渡り廊下を走っていた。周りの木々から落ち、散った木の葉が足元を舞う。
まだ暑さは残るのに季節は秋へ移り変わっていってるんだな……そんなふうに思いながら木々を見上げた。
あ……井関先生。
顔を上げると少し遠くに職員室が見える。窓へ背を向けた先生が、隣のクラスの先生と話しながら何かを飲んでいるように見えた。また、甘~いコーヒーでも飲んでるのかな? あっ、砂糖! 足してる、足してる。
「ぷぷっ」
おかしぃー。甘党は相変わらずなんだね。