外は少しずつ暗くなり、街灯が灯る時間。
仕事帰りなのか、多くの人が足早に駅の方へ向かう。
今日はいつもよりちょっと遅め。泉屋の外の灯籠にも灯りがついていた。店内の雰囲気に合わせるようにダウンライトになっている。店内は会社帰りの人なのか、大人の女性が多く賑わっていた。昼間の泉屋では、あまり感じられない賑わいだ。
「今日はちょっと騒がしくて、ごめんね」
泉屋の店員のお姉さんが、薄いブルーのグラスに入れたお水を持ってやって来た。そして、私たちの前に1枚ずつ柄の違うランチョンマットを広げる。
「いいえ、座れただけでラッキーだから」
私は答え、飲み物を注文した。
リク先輩は、今まで来たことがない雰囲気の店に、キョロキョロ店内を見回していた。それを見て、ミカも笑い出す。
なんだか反応が懐かしい。井関先生もこの店に来た時、キョロキョロしていたっけ。