10月になり、学校は来月にある学園祭に向けての準備に入っていた。

 うちの学校は、体育祭と学園祭が1年置き交互に行われる。今年は学園祭の年。学園祭の方が他校からの生徒や一般が来ることもあり、体育祭より盛り上がる。

 1クラスずつ出し物を決めるため、どの学年の生徒も学校に残ることが増えていた。

 うちのクラスも同じ。毎日放課後、残ってミーティングが開かれていた。みんなは学園祭に向けて張り切る中……。

「はぁ……早く帰りたいなぁ」

 ミカはため息をつき、毎日そう言っていた。

 3年のリク先輩は、夏休み明けに部活を引退し、放課後会える時間が増えたとミカは喜んでいた。だが、学園祭があるということで、会える時間があまり取れないようだ。

「うちらが早く終わったって、リク先輩が終わんなきゃ一緒に帰れないじゃない」

「そうだけどさぁ~」

 ぶぅ~と、ミカがふてくされた。

「――では、私たちのクラスは屋台に決定します!」

 クラス委員長が声高くそう言った。

 屋台をやることになったそうだが、まだ何を売るのかは決まっていないらしい。私たち2年生は初めての学園祭で、最後の学園祭でもある。だからみんなは楽しみにして、こうやって出し物を夢中になって決めているけど、まるで私は他人事だ。

「ねぇ杏、今日リクも泉屋に連れてっていい?」

「うん、もちろんいいよ」

 まだまだ学園祭に向けてのミーティングは続きそうだ。