「あんたね! 彼氏いるくせに、これ以上井関先生に興味があるような顔しないでよ!」
井関ファンの1人が、そう叫んだ。
「え?」
「え?」
私とミカは、その言葉に耳を疑った。あきらかに、その子は私の方を向いている。
「誰に彼氏? ミカのこと?」
恐る恐る聞き返してみる。
「は!? 篠田さんよ! 入江先輩が付き合ってるって言ってたわよ!」
「!」
一気に血の気が引くような気がした。
先輩が……?
なんでそんなこと……。
「杏、どういうことよ!?」
私の袖をクイクイと引っ張り、ミカがこそっと耳打ちしてきた。
「……わからない」