「だからって、毎日毎日先生の周りウロウロして、調子のらないでよ!」

 いい加減、頭にくる……。

“問題児だから優しく受け止めてくれる”そんなこと冗談でも口にしたくなかったこと。

「あんた達も進歩ないねぇ! 名前のことも、杏が英語出来ないことも、そんなのとっくにわかってることでしょ!? 何を今更ほじくり返してんのよ! くだらない!」

「……」

 一瞬、みんなの目が点になった。

 私が言葉を発する前に、痺れを切らしたミカが怒鳴ったのだ。

 ミカらしからぬ……というか、可愛らしいミカからは想像出来ないドスの効いた言葉だった。

「あんたには関係ないでしょ!」

「あんた達がしょうもないこと言うからでしょうが!」

 ミカと井関ファンが怒鳴り合っている。そのうち、取っ組み合いが始まり兼ねない勢いだ。

「あ……あのね、ミカ……」

 自分のことをかばってくれているとはいえ、ミカの迫力に私まで動揺してしまう。止めようとしてもミカの怒りは治まる感じがしない。