昼休みが終わりかけると、外に出ていた生徒たちが教室にパラパラと戻って来た。

「杏はこれから職員室行くの?」

「うん、井関先生これから出張でいないって言うから、今のうち手紙訳してもらってくる」

 私はミカとの食事を終え、職員室へ向かおうとしていた。

 入江先輩とあんなことがあったというのに、今日も変わらず、アールグレイと手紙は届いていた。

 もし、手紙の差出人が入江先輩なら、あんなことがあって、普通に手紙を入れてくる神経にどう思っているのか……と、不思議に感じてしまう。

「いってらしゃ~い」

 ミカに手を振られ、職員室へ向かおうとした時……「ねぇ篠田さん、ちょっと……」束になった女子に呼び止められた。

「……」

 井関ファンだ。嫌な予感。私とミカは顔を見合わせた。

「何?」

 私は無意識にムッとしたように言った。彼女たちの顔つきや様子を見れば何が言いたいかくらいは察しがつく。