放課後、学校を終えた私は、入江先輩といつもの駅前のファストフード店で待ち合わせをしていた。
ミカには説明をして、先に泉屋に行ってもらっていた。
「ゴメンね、遅くなって」
先輩は少し遅れてやって来た。息を切らしているのが、急いで走って来たことを伺わせる。
「大丈夫ですか? 走って来なくてもよかったのに」
「だって、杏ちゃんから会おうなんてメールがくるなんて、嬉しかったからさ」
「……」
これから伝えなければいけないことを思うと、先輩の嬉しそうに言ったその言葉が重く感じる。
一息つくように、先輩は飲み物を口にした。
「今日はどうしたの? 英語でわからないところでもあった?」
「いえ、そうじゃなくて……私……」
「うん?」
「……先輩に謝らなきゃ……私、先輩の気持ちに応えられないから……」
言い切ったと同時に、大きな笑い声が響いた。同じフロアの学生たちの騒がしさで、一瞬私と先輩の周りだけ空気が止まったように感じた。
「どういうこと?」
うつむく私に先輩が声をかける。