「でも……入江先輩のことどうする?」

 ミカが深刻そうな顔で言った。入江先輩とは変わらずメールのやり取りはしていた。

「うん……ハッキリ言うよ。好きな人が出来たからって。先輩には悪いと思うけど、もう2人で会うことは出来ないと思うし」

「そうだね。誰とは言えなくても、好きな人が出来たことは言った方がいいね」

「うん、リク先輩にも間に入ってもらったのに、ゴメンね」

「そんなのいいよー、まぁ入江先輩みたいなイケメン逃すのはもったいないけど、先輩ならすぐ彼女出来そうだしね」

 ミカはフォローするように、そう言ってくれた。

 確かに入江先輩みたいな素敵な人、そんな人に好意をもらっているのに、断るなんてバチが当たるかもしれない。それにもしかしたら、あのアールグレイと手紙は入江先輩からかもしれないのに。そう思うと申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

 キャーキャーと、廊下の向こうから女子の声がする。井関先生が来たんだと分かる合図だ。

「おはよー、ほら席つけー」

 先生が入って来た。

 私は同時に、自分の気持ちを伝えるべく、入江先輩にメールを送った。

【話したいことがあります。今日、会えませんか?】