「……井関先生……」

「!」

 ミカの動きが止まった。

「……本気? 井関先生のファンの子たちみたいに、憧れとかじゃなく?」

「……わからないの」

「わからない?」

「自分の気持ちが……。先生を好きになったって、どうにもならないって分かってる……。だからこの気持ちは恋なんかじゃないって、気のせいだって、そのうち違かったって忘れてしまうものだって、でも……」

 ミカは、私の言葉一つ一つにうなずき、聞き入っている。

「井関先生のファンの子たちにヤキモチやいている自分がいたり、先生の言葉に一喜一憂したり……。ミカも先生に憧れてること知ってたし、今まで私は井関先生を苦手だと思ってたから、自分でもこの気持ちは恋なんかじゃないって……」

 私はあの手紙を先生に訳してもらっていたことなど、先生を好きになった経緯をミカに話した。

「私のことなんか気にしなくてもよかったの。所詮私はただの憧れ。みんなと一緒にキャーキャー言ってたかっただけよ。本当に好きなのは、リクだけだもん」

 ミカはニコッと笑った。

 この言葉に私も安心した。