残り3日の補習も終わり、夏休みも半分が過ぎていた。

 夏は嫌いだ。今日は猛暑日、気温も35℃を超えた。

 やる気の出ない私に、このうだるような暑さが更に追い討ちをかけるように、私の精気を失わせる。毎日の蝉の声も私を苛立たせ、何もやる気になれない。

 クーラーの効いた部屋で毎日お昼頃まで寝ているような、ダラけた生活を送っている。

 毎日の入江先輩とのメール。ただそれだけで、会うことは避けていた。申しわけないと思いながらも、どうしても先輩の気持ちには応えられずにいた。

「いらっしゃいませー」

 今日はミカと泉屋で待ち合わせ。

 一番暑くなる午後。外から店の中に入ると、クーラーのほどよく効いた店内が、私を生き返らせる。

「杏、遅いー」

 先に来ていたミカが、大きく手を振り私を呼んだ。

「ごめん、ごめん」