「だからさ、そんな弱い自分を見せないように、何か悩んだ時はここへ来てる。これは誰にもバレちゃいけないんだ。ここは俺の逃げ場所だから」
そう言うと、振り返り、私を見つめた。
「……私には、教えてよかったの?」
「……そうだな」
そう言うと、先生はまた背を向け歩き出した。
先生……それはどういう意味なの?
少しずつ日が傾く。強い風に流される雲もオレンジ色に染められ、陽に照らされ伸びた先生の影を追いかけるように歩く。
何度も背中を見つめ、何度も先生は私へ振り返る。
先生を好きなんて、有り得ない。
そう思う気持ちとはうらはらに、私の先生への気持ちはどんどん加速していった。