食後は甘~い白玉ぜんざい抹茶アイス乗せをデザートで食べて、他愛の無い話をして、先生と笑った数時間。

「もうこんな時間だ、くつろぎ過ぎたな。そろそろ出るか?」

 先生が腕時計に目をやりながら言った。壁に掛かった時計を見ると、午後4時になろうとしていた。

 こんな時間になっていたんだ……。本当にたくさんのことを話した気がする。

 以前の私なら、井関先生と一緒に居るのがイヤでイヤで仕方なかったのに。時間を忘れてしまうくらい一緒に居たなんて。自分でも驚いてしまう。

「ありがとうございましたー」

 軽くのれんを上げ、笑顔で見送ってくれる店員さん。泉屋を出ると、空はもうオレンジがかっていた。店の前の大きな木の葉も赤く染まり、風に揺れる。

 さっきまであんなに暑かったのに、陽射しがなくなるだけで、こんなにも外の風は気持ちよくなるものなんだ。

「先生、ありがとう。ご馳走様です」

 私は前を歩く先生に頭を下げた。結局おごってもらっちゃったな。あんなにたくさん食べたのに。