私は井関先生が好きなの――?

 別にこれが初恋じゃない、普通に恋をして、付き合ってみたこともある。

 でも、それはいつも”なんとなく”で、結局、長くは続かない。ただなんとなくなら付き合ってもしょうがない。いつからか、恋をすることさえも面倒と感じて、人を見つめることもやめてしまっていた。

 だから、ドキドキもイライラも、これが恋やヤキモチだということも、すぐに反応出来なくて……。

 まさか私が、井関先生を好きになるなんて……。

 ありえない。

『好き』という気持ちも、そのうち錯覚だったとわかる時がくる。きっとまたすぐ冷める……。

 私は頭の中で『先生を好きになってしまった』という現実を、一生懸命、消そうとしていた――。

 梅雨寒の毎日が過ぎ、日に日に暑さが増す。

 自分の気持ちに気付き始めたと同時に、テレビでは梅雨明けのニュースが流れた。