―ゴクッ―
 ―チクッ―

 私は口に含んだブロッコリーを飲み込んだ。

 同時に起こった、チクッとした痛み。

 あれ?

 今のなに?

 ―チクッ―

 私は井関先生たちから目を逸らした。

 ―チクッ―

 そうだ……。

 ミカも井関ファンの一人だ。井関先生に興味が無い人に比べれば、観察力は優れている。

 好きな人を見る時って、みんなそうなのかな? 好きな人の素敵なところを、すぐ察知出来る。

 ―チクッ―

 今までそんなこと、考えたこともなかった。

「あははははー、先生ここ違うじゃーん」

 廊下から、騒ぐ女子の高い声が聞こえる。

 ―チクッ―

 先生はまだ、あの子たちと笑っているのかな……。