「杏やっぱりー、なんだか変わったぁ」
昼休みの教室。お弁当を食べながら、ミカが私に言った。
「そう?」
この数日、ミカからよく言われている。
「うん、なんだか毎日楽しそう」
「そうかな? 変わらないけど」
「入江先輩のせいかなぁ?」
ニヤニヤと笑いながら言うミカ。
「ぶっ……入江先輩!? 違うよー」
私は飲もうと口にした烏龍茶を、吐き出すところだった。
何か言いたそうだと思ったら、それか……。
「えー、違うのぉ?」
確かに入江先輩との毎日のメールは続いているし、英語を教えてもらうため、時々、学校帰りに会ったりもしている。でも、ただそれだけ。
とても優しいし、カッコイイし、頭は良いし。入江先輩はとても素敵だ。でも、なんだか違う。
『あの手紙の差出人は、あなたですか?』
そう聞きたいけど、どこかで答えを聞くのが怖いと思っている。