学校から駅までは20分位の距離。
待ち合わせの時間を随分オーバーして、私は駅前の店に着いた。3階建ての どのフロアにも、うちの学校の生徒が溢れている。話したことはないが、同じ学年の生徒の顔も見える。
急いで駆け上がり、ミカから指定された3階に着いた。
「杏、こっちこっちー! もう、遅いよぅー!」
「ごめんね……」
息を切らしながら、4人掛けの空いている席に座る。そこにはミカと、彼のリク先輩、そして……。
「杏ちゃん、大丈夫?」
まだ息が荒い私に、リク先輩が声を掛けてきた。この日のために予定を空けてくれたという。
「はい、大丈夫です」
「もう杏てば、髪ボサボサー」
ミカが私の髪を直す。
「あ、ありがと」
急いで走って来て、髪も制服も乱れている。
今日みんなで会うことは、わかっていた。本当は髪も服もしっかり整えてくるのが常識なんだろう。こういうところ私は鈍感なのかもしれない。それどころか約束を忘れていた……なんて、話にもならない。