「はぁ……」
てか、こんな17歳の高校生いるのかなって考えたら、ため息が出た。
「杏 遅刻だぞ!」
聞き覚えのある声に振り向くと……。
「ゲッ、井関!」
うちの担任が立っていた。
井関 叶多
英語科教師、28歳。
「ゲッじゃない、ほら行くぞ! おまえ毎朝遅刻だろ」
井関のその声に、私と同じように遅刻当然という顔をしていた生徒数人が、そそくさとコンビニを出て行った。
井関……いつコンビニに入って来たのか、いつから後ろに立っていたのか……。
不覚。
私……井関、苦手なんだよねぇ。
英語も嫌いだし、ちょっとイケメンだからって女子に人気があるのが当たり前で~す。みたいなところが特に。
私はしかめた顔を隠すこと無く思いっきり顔に出してしまう。
「……先生だって、こんな時間じゃ遅刻じゃんよ。担任がそんなんで、いいのー?」
ちょっと嫌味込めて言ってみた。
「今日はいいんだ」
サラッと井関が答える。
「ふ~ん」
別にどうでもいいけどね。
「ほら、行くぞ」
まるで巨人と小さな人間のような背の違い、そんな巨人に連れ去られるように首根っこを引っ張られコンビニを出た。