職員室のコピー機で、補修の人数分のプリントをコピーしていた。

 2学年だけの補習用プリントとはいえ結構な量がある。私だけが補習じゃないことに一瞬ホッとしたが、見ると補習の個所によってプリントも違う。自分の名前のプリントが他の人に比べ厚いことに手が震えた。

 これって……私だけが補習日全部ってことじゃない?

「今日も届いてたんだろ? 例の手紙」

 コピーしながら、井関が私の方を振り返る。

「あ、そうだった」

 プリントをホチキス留めしていた私は、カバンから手紙を取り出し井関に渡した。結局のところ、変わらず毎日、井関に訳してもらっている。

「――――From the one that loves you―あなたを愛する者より―。相変わらず熱心だな、この差出人は」

 井関が手紙を読み上げ、ふむふむと納得したように言った。

「うーん、でももしかしたら、差出人が分かりそうなの」

「え? この手紙の差出人が!?」

 井関が声を上げた。

「そんな、ビックリしなくても……」

 井関のその大きな反応に、こちらがビックリしてしまう。

「あ……いや、英語教師としても、こういう手紙を出す人物に興味はあるからね」

「ふーん?」

 そんなもんなのかね?