「3年生にね、杏を気に入っている先輩が居るらしいの」

「はぁ!?」

 突然の話に吹き出しそうになる。

「名前なんだっけなぁ」

 スマホにメモしてあるのか、ミカはスマホを何度も確かめた。

入江(いりえ) 千明(ちあき)。リクとはクラスは違うらしいけど、私と杏が仲いいことを知って、リクに杏のことを聞きに来たらしいの」

「イリエ チアキ?」

 聞いたことのない名前。

「ほら前に、リクのクラスに行くのに、杏に付き合ってもらったことあったじゃない。3年の教室行った時、私がよそ見してぶつかった人。すごい長身で、ハーフっぽい顔したカッコイイ先輩」

「あぁ! あの人!」

 記憶には、あった。行き慣れない3年生の教室。リク先輩の教室を探して、キョロキョロしてミカがぶつかった人。確かにカッコイイ人だったという印象は残っている。

 でも意識してないせいか、今まで忘れてたけど……。