「こんなお腹でも遊んでよー」

 ミカがお腹をさすりながら言った。

「あはは、オッケー。あ、ミカ送って行こうか? まだ外暑いし。ね、先生」

「あぁ、車とってくるよ、大石待ってな」

「ありがとうございます。でも大丈夫。お義母さんと買い物して帰る約束してるから。多分、そこらへんで待ってると思うんだ」

「そうなの? 待たせて平気だった?」

「あー、違う違う。お義母さんは自分の買い物に来てて、私も近くに居るって話したら、じゃあ一緒に帰りましょう……ってことになったの。お義母さんとの付き合いも色々と大変なのよぅ」

 はぁ……と、ミカがため息をついた。学生の頃じゃ考えられないミカの言葉。大人になったんだなぁと、感じる。

「杏またメールするからー」

「オッケー」

「あ、井関先生、杏のことよろしくお願いします」

 ミカは大きなお腹を支え、深く頭を下げた。

「ミカ……」

「大丈夫、安心して」

 先生がそう言うと「はい」とミカは笑顔で返事をした。

「じゃあまたねー」

 ミカが大きく手を振った。

「ミカー、気をつけてよー、転ばないでよねー」

 ミカはもう一度振り返り、手を振った。

「杏、大石みたいな友達が居て良かったな」

 歩いて行くミカを見送りながら、先生が言った。

「うん、本当に……」

 本当にそう思うよ。