私と先生の結婚が決まった時、ミカは泣いて喜んでくれた。

 先生と話すようになって、先生を好きだと気付いて、先生と一緒に居た時間は少なかった。

 すれ違いばかりで、想いが通じても転勤になってしまった先生とは遠距離恋愛で……。

 それでも先生とのあの苦しい一年を思えば、離れていても大丈夫という自信はあった。

 それもみんな、先生のくれた手紙のおかげ。

 仕事を始めて、大人に一歩近付いて、その悩みや不安。先生に会えない淋しさ。その時はいつも、先生からの手紙を持って、そして先生が教えてくれた、 あの海の見える場所へ行く。

 先生の言葉が私に力をくれる。

「杏、また連絡ちょうだいねぇ」

「もちろん!」

 私たちは泉屋を出た。