「将来はシェフかぁ、すごいよねー。杏が自分のお店持ったら家族みんなで通うわー。リクの学校の生徒も連れて押しかけるかなぁ」

「何よそれ。ミカはいつも気が早いんだもん」

「えーそう? でもパティシエのがよかったなぁ、そしたらいつでも甘い物食べれるのにー」

「何よその理由~」

「あーそんな話ししてたら、なんか甘い物食べたくなってきちゃったぁ」

 そう言うと、ミカはメニューを見始めた。

「甘い物なんて食べていいのー?」

「体重制限しなきゃだけど、たまには食べさせてよ~」

 そう言いながら店員さんを呼んだ。

「そうそう、クラスのみんなもね、杏に会いたがってるらしいよ」

「えー? そうなの? みんな元気かねー」

「ねー、私も人伝に聞いたんだけどねぇ。たまにはみんなで会いたいよねぇ。同窓会なんて早いか?」

 ミカが笑いながら言った。

 同窓会かぁ。そんなこと、考えたこともなかったなぁ。

 クラスのみんなのことを思い出すと、あの学園祭を懐かしく感じる。あの時は本当に楽しかった。

 あの後、卒業するまで色々なことがあった。

 私と井関先生のウワサはずいぶん続いたが、私の耳には入らなかった。調理師の学校に行くと決めた私は、夢中で勉強した。