靴を履き替えようとしていると、ガラガラと建付け悪そうな重い音をさせ、職員室の扉が開いた。
「あ、井関先生だ! 先生バイバーイ」
職員室から出てきた井関に、嬉しそうにミカが手を振る。
「気をつけて帰れよー」
「はーい」
随分長い時間、職員室前で話していたんだ。
さっきの井関との気まずい空気が思い出される。そう感じたのは私だけだろうけど。
こうやって毎日職員室に通うのも、これから井関に手紙訳してもらうのも、なんだか面倒になってきたな。
こういう時、自分の英語力の無さを、つくづく情けないと感じてしまう。