「……私のせい……なんです……」

「え?」

 お母さんが不思議そうに、私を見つめた。

「……先生は、私を守ってくれてこんなことに……ごめんなさい……」

 震えが止まらない。

 そんな私の手をそっと、お母さんは握り締めた。

「……」

 そして優しく微笑む。

「私はね、教師って仕事がどういうものか解らないけど、小学校や中学校に比べて、高校教師って難しいんじゃないかって言ったのよ。高校生って言っても心はもう大人でしょ。きっといろんな大変なことが待っているって思っていたの」

「……」

「でもそれが、あの子の夢だったから。生徒さんたちに、こんなに慕われて……本当にあの子は幸せ者ね」

「……」

 私は何も言えず、深く何度も頷いた。

 溢れそうになる涙を、何度もこらえて……。