「篠田さん、大石さん、チャイム鳴るわよ、急ぎなさい」

 新しい担任だとミカに教えてもらった先生が声をかけてきた。

「はーい」

 ミカが大きく返事をする。

「篠田さん、あなた明日追試だけど、大丈夫?」

 停学前にあったテストを白紙で出した私は、進級出来たものの、追試を受けなければいけなくなっていた。それがあんな事件のせいで今まで延びてしまっていた。

「はい」

「そうよかった、頑張ってね」

 私の力強い言葉に、先生はホッとしたように微笑んだ。

 もう大丈夫。

 井関先生、私はもう大丈夫だよ。

「杏、行こう」

「うん!」

 私たちは教室へ向かって歩き出した。